法・ガバナンス | 2025年11月6日

旧統一教会「解散命令」をめぐる経過と背景

このページでは、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に対して出された解散命令に関係した情報を提供しています。タイムラインには解散命令請求事件とは別の過料事件についても一部掲載していますが、過料事件における最高裁の判断が、解散命令請求事件の主要な争点に司法の解釈を先行して提供したという点で関連性を持っています。

種別焦点となる行為性質
解散命令請求組織的な不法行為(献金等)主要な非訟事件(法人格剥奪が目的)
過料事件質問権への回答不備独立した非訟事件(制裁が目的)

解散命令請求と過料事件の関係性

過料事件に関する最高裁の判断は、解散命令請求事件の最大の争点であった「献金強要等の不法行為が、宗教法人法上の解散事由となるか」という点について、裁判所としての解釈を先行して示したものです。

この最高裁の解釈が示された直後(2025年3月25日)に東京地裁が解散命令を決定したことから、独立した過料事件で示された最高裁の解釈が、地裁の判断に影響を与えた可能性を報じる見方もあります。

法的手続きの流れと判断の比較

種別焦点となる行為最終的な判決・決定
解散命令請求組織的な不法行為(献金等)東京地裁で解散命令決定(2025/3/25)現在高裁で係争中。
過料事件質問権への回答不備過料10万円の確定(2025/3/3)最高裁が「不法行為=解散要件」と初判断。解散命令請求における法令解釈の前提を提供。

解散命令の基本情報

対象団体
世界平和統一家庭連合
国税庁ステータス
登記は閉鎖されていません (最終確認: 2025年11月7日) コード: 1

時系列で見る経緯

現在
現在
即時抗告の審理中
報道によれば、判断は年内にも示される見込み。高裁の判断後、教団または政府のいずれかが特別抗告を行った場合、最高裁で審理されるが、高裁の決定時点で解散命令に効力が生じ、裁判所が指名した清算人による教団財産の清算手続きが始まる。
東京高等裁判所
2025年4月7日
その他
旧統一教会が即時抗告を申し立て
教団側は東京地裁の解散命令決定を不服として東京高等裁判所に即時抗告を申し立てた。声明で「事実と法を無視した結論先にありきの決定で、日本国民である信徒の人権が侵害されている」と主張し、争う姿勢を明確にした。
東京高等裁判所
2025年3月25日
地裁判決
東京地裁が旧統一教会に解散命令
東京地方裁判所が宗教法人法第81条に基づき旧統一教会の解散を命じる決定を下した。献金勧誘による長年の大規模被害が「看過できない程度の規模」に及んでいると認定し、法人格剥奪以外に有効な手段がないと判断。法令違反を理由とする宗教法人解散命令はオウム真理教事件以来、戦後3例目となった。
東京地方裁判所
判決要旨: 悪質かつ継続的な献金被害を認定し、公共の福祉を害する行為があったと判断。解散命令は必要かつやむを得ない措置と結論付けた。
2025年3月3日
最高裁判決
最高裁が過料決定を支持(解散要件に不法行為も含むと初判断)
最高裁第1小法廷(中村慎裁判長)は、旧統一教会に過料10万円支払いを命じた東京高裁の決定を支持し、教団側の抗告を棄却した。併せて宗教法人法81条の「法令違反」には民法上の不法行為も含まれるとの初判断を示し、
解散命令請求に関する法令解釈の一部が、最高裁の判断によって示された。
最高裁判所
判決要旨: 旧統一教会への過料10万円支払い命令が確定。不法行為も解散命令の「法令違反」に該当すると初判断。
2025年2月27日
口頭弁論
東京地裁での審理が終結
東京地方裁判所での旧統一教会に対する解散命令請求事件の審理がこの日までに終結し、裁判所が近く判断を示す見通しとなった。
東京地方裁判所
2024年8月27日
高裁判決
東京高裁、教団への過料命令を支持
旧統一教会が質問権による調査に回答しなかった問題で、東京高等裁判所(館内比佐志裁判長)は田中富広会長に過料10万円の支払いを命じた東京地裁決定を支持し、教団側の不服申し立てを棄却した。
東京高等裁判所
判決要旨: 田中富広会長への過料10万円支払い命令を支持し、教団側の抗告を棄却。
2024年3月7日
その他
旧統一教会を「指定宗教法人」に指定
文化庁が旧統一教会を「指定宗教法人」に指定。解散命令決定前に資産の無断処分を防ぐため、教団は不動産など財産を処分する際に1カ月前の事前届出が義務付けられ、財産監視が強化された。
2024年2月22日
口頭弁論
第2回口頭弁論
旧統一教会の解散命令請求を巡る第2回審問が東京地裁で非公開で行われた。教団側から田中富広会長が意見陳述し、「解散命令の要件には当たらない」と国の主張に反論した。
東京地方裁判所
2023年12月13日
その他
旧統一教会被害者救済の特例法が成立
国会で旧統一教会の被害者救済を目的とした特例法が成立。解散命令請求を受けた宗教法人を「指定宗教法人」に指定し、財産処分の事前届出義務化など教団資産の監視強化策が盛り込まれた。
2023年11月15日
口頭弁論
第1回口頭弁論
解散命令請求に関する第1回口頭弁論が開かれた。
東京地方裁判所
2023年11月7日
その他
旧統一教会が記者会見で解散請求に反論
旧統一教会(世界平和統一家庭連合)の田中富広会長が記者会見し、「解散命令請求は到底受け入れられない」と述べて全面的に争う姿勢を表明。信者被害の救済策として最大100億円を国に供託する用意があることも明らかにした。
関連報道 2023年11月7日
旧統一教会の最大100億円供託の意向、コメント控える=官房長官
2023年10月16日
その他
旧統一教会が請求理由に反論
旧統一教会側が文部科学省の解散命令請求について「請求の理由は法律に則っていない」と主張し、受け入れられないとの立場を示した。
2023年10月12日
解散命令請求
文化庁が解散命令を請求
文化庁が東京地方裁判所に対し、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)への解散命令を請求。献金強要などの法令違反を理由とする。
東京地方裁判所
2022年7月11日
その他
旧統一教会が東京都内で記者会見
世界平和統一家庭連合(旧・統一教会)が東京都内で会見を開き、事件を起こした山上徹也容疑者の母親が同団体の会員であると明らかにし、「決してあってはならない行為で強い憤りを感じている」と表明、警察からの要請に全面協力する意向を示した。
関連報道 2022年7月11日
安倍氏銃撃で旧統一教会「容疑者母は教会員」
2022年7月8日
事件発生
安倍晋三元首相暗殺事件
奈良市での参院選の応援演説中に銃撃され、同日死亡。犯人の山上徹也容疑者は、母親が多額の献金をした旧統一教会に恨みを持ち、教団と繋がりがあると考えた安倍元首相を狙ったと供述。

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