国際比較 | 2022年4月9日

統計データ:「2012 宗教と無神論に関する国際指標」

2012年にギャラップ・インターナショナルが発表した「宗教と無神論に関する国際指標」のデータを紹介します。英語名タイトルは「GLOBAL INDEX OF RELIGIOSITY AND ATHEISM – 2012」です。この調査は世界57か国で行われ、その人口の総計は世界人口の73%余りにのぼります。

この調査では約50,000人以上の男女に対してアンケートを実施し、2005年に行われた前回調査との比較データも公開されています。本記事では、この調査から明らかになった主要なデータを表形式で紹介します。

無神論者が多い国トップ10

まず、確信的無神論者(A convinced atheist)の割合が高い国のランキングを見てみましょう。中国が47%で最も高く、日本は31%で第2位となっています。

宗教心があつい宗教心的でない確信的無神論者回答なし
中国14%30%47%9%
日本16%31%31%23%
チェコ共和国20%48%30%2%
フランス37%34%29%1%
韓国52%31%15%2%
ドイツ51%33%15%1%
オランダ43%42%14%2%
オーストリア42%43%10%5%
アイスランド57%31%10%2%
オーストラリア37%48%10%5%
アイルランド47%44%10%0%

日本については、「確信的無神論者」が31%、「宗教心的でない」が31%で、合わせて62%が非宗教的な立場を示しています。一方で「回答なし」が23%と他国と比較して高い点も特徴的です。

信仰心が強い国トップ10

次に、「宗教心があつい」と回答した割合が高い国のランキングです。アフリカ諸国が上位を占めています。

宗教心があつい宗教心的でない確信的無神論者回答なし
ガーナ96%2%0%1%
ナイジェリア93%4%1%2%
アルメニア92%3%2%2%
フィジー92%5%1%2%
マケドニア90%8%1%1%
ルーマニア89%6%1%3%
イラク88%9%0%3%
ケニア88%9%2%1%
ペルー86%8%3%3%
ブラジル85%13%1%1%

ガーナでは96%が「宗教心があつい」と回答し、確信的無神論者は0%でした。上位10カ国はいずれも85%以上が宗教心があつい国であり、無神論者の割合が高い国々とは対照的な結果となっています。

宗教性指標の変化(2005年→2012年)

2005年と2012年の両方で調査が行われた40カ国について、「宗教心があつい」と回答した割合の変化を示します。世界平均では77%から68%へと9ポイント減少しました。

2005年2012年変化
世界平均77%68%-9%
ガーナ96%96%0%
ナイジェリア94%93%-1%
マケドニア85%90%+5%
ルーマニア85%89%+4%
ケニア89%88%-1%
ペルー84%86%+2%
パキスタン78%84%+6%
モルドバ78%83%+5%
コロンビア83%83%0%
カメルーン86%82%-4%
マレーシア77%81%+4%
インド87%81%-6%
ポーランド85%81%-4%
セルビア72%77%+5%
イタリア72%73%+1%
アルゼンチン80%72%-8%
ウクライナ70%71%+1%
エクアドル85%70%-15%
リトアニア75%69%-6%
ボスニア・ヘルツェゴビナ74%67%-7%
南アフリカ83%64%-19%
アメリカ合衆国73%60%-13%
ブルガリア63%59%-4%
アイスランド74%57%-17%
ロシア連邦57%55%-2%
フィンランド51%53%+2%
韓国58%52%-6%
スペイン55%52%-3%
ドイツ60%51%-9%
スイス71%50%-21%
カナダ58%46%-12%
アイルランド69%47%-22%
オランダ42%43%+1%
オーストリア52%42%-10%
フランス58%37%-21%
ベトナム53%30%-23%
チェコ共和国22%20%-2%
日本17%16%-1%

最も大きく宗教性が低下した国はベトナム(-23ポイント)、アイルランド(-22ポイント)、スイスとフランス(各-21ポイント)でした。逆に増加した国としては、パキスタン(+6ポイント)、マケドニアとモルドバ、セルビア(各+5ポイント)が挙げられます。日本は2005年の17%から2012年の16%へとわずか1ポイントの減少で、調査対象国の中で最も宗教性が低い水準を維持しています。

無神論指標の変化(2005年→2012年)

次に、確信的無神論者の割合の変化を見てみましょう。世界平均では4%から7%へと3ポイント増加しました。

2005年2012年変化
世界平均4%7%+3%
日本23%31%+8%
チェコ共和国20%30%+10%
フランス14%29%+15%
韓国11%15%+4%
ドイツ10%15%+5%
オランダ7%14%+7%
オーストリア10%10%0%
アイルランド3%10%+7%
アイスランド6%10%+4%
カナダ6%9%+3%
スペイン10%9%-1%
スイス7%9%+2%
イタリア6%8%+2%
アルゼンチン2%7%+5%
ロシア連邦4%6%+2%
フィンランド7%6%-1%
モルドバ2%5%+3%
アメリカ合衆国1%5%+4%
ポーランド2%5%+3%
南アフリカ1%4%+3%
ボスニア・ヘルツェゴビナ9%4%-5%
ウクライナ4%3%-1%
コロンビア3%3%0%
カメルーン5%3%-2%
インド4%3%-1%
ペルー2%3%+1%
セルビア4%3%-1%
ブルガリア5%2%-3%
パキスタン1%2%+1%
エクアドル1%2%+1%
ケニア0%2%+2%
リトアニア2%1%-1%
ルーマニア1%1%0%
マケドニア3%1%-2%
ナイジェリア1%1%0%
マレーシア4%0%-4%
ガーナ0%0%0%
ベトナム1%0%-1%

無神論者の割合が最も増加したのはフランス(+15ポイント)、次いでチェコ共和国(+10ポイント)、日本(+8ポイント)、オランダとアイルランド(各+7ポイント)でした。日本は2005年の23%から2012年の31%へと8ポイント増加し、調査対象国の中で無神論者の増加率が最も高い国の一つとなっています。

データから読み取れること

日本の特徴

日本は以下の点で特徴的な位置にあります:

  • 確信的無神論者の割合が世界第2位(31%)
  • 2005年から2012年の間に無神論者が+8ポイント増加(増加幅で上位)
  • 「宗教心があつい」と答えた人の割合が調査対象国中最低(16%)
  • 「回答なし」が23%と高く、宗教に関する態度表明を避ける傾向

世界的な傾向

2005年から2012年の7年間で、調査対象国全体において以下の傾向が見られました:

  • 「宗教心があつい」と答えた人の割合が平均で9ポイント減少(77%→68%)
  • 確信的無神論者の割合が平均で3ポイント増加(4%→7%)
  • ヨーロッパ諸国で宗教性の低下と無神論の増加が顕著
  • アフリカ諸国では依然として高い宗教性を維持

地域的な差異

調査結果から、宗教性には明確な地域差が存在することが分かります。アフリカ諸国(ガーナ、ナイジェリア、ケニアなど)では90%前後が宗教心があつい一方、ヨーロッパ諸国(チェコ、フランス、オランダなど)や東アジア諸国(日本、中国)では宗教性が低く、無神論者の割合が高い傾向にあります。

出典:WIN-Gallup International, “GLOBAL INDEX OF RELIGIOSITY AND ATHEISM – 2012”

関連キーワード
宗教離れ統計データ

関連記事

廃止された宗教法人の統計

廃止された宗教法人の一覧と統計

宗教法人の廃止(登記閉鎖)に関する統計情報を提供しています。閉鎖理由別の集計、地域分布、年別推移などを確認できます。

スイスで進む「宗教離れ」

スイスで進む「宗教離れ」

スイスは長らくキリスト教文化圏に属してきましたが、近年、その宗教的風景には大きな変化が見られます。連邦統計局(FSO)の最新データ(2025年発表)をもとに、宗教的所属や信仰、宗教行事への参加状況の変遷を見ていきます。

数字で見る宗教人口のパラドックス ― なぜ「信者数」は人口を超えるのか

日本の「信者数」は約1億7千万人で総人口を超える一方、明確な信仰を持つ人は3割程度です。文化庁統計は「制度上の所属」を、個人調査は「信仰意識」を測定しており、このギャップが数十年維持されている構造をデータとともに解説します。

名もなき生涯

良心的兵役拒否者を題材にした映画「名もなき生涯」

良心的兵役拒否の権利が認められていない国で、「戦争参加を拒否する」ことはどんなことを意味するのでしょうか。良心的兵役拒否により処刑された実話に基づく映画。